図:いぬ(ChatGPTによる)
今朝の一冊は、今野晃嗣・村山美穂『犬の性格を科学する――遺伝子でひもとく「最良の友」の進化』(集英社新書、2026年8月7日刊、1375円)。動物心理学者と動物遺伝学者が、「柴犬は忠実」「トイ・プードルは社交的」といった犬種別の性格観を、行動と遺伝子の両側から検討する本です。([集英社新書][1])
目次の構成がよくできています。まずオオカミとイヌの性格差を問い、次に柴犬やシベリアン・ハスキーなどの古代犬種、チワワやトイ・プードルなどの現代犬種を比較する。そして後半で候補遺伝子研究からGWASへ進みます。GWAS(ゲノムワイド関連解析)とは、ゲノム全体を調べ、ある性質と統計的に関連する遺伝的変異を探す方法です。最後は「イヌとともに幸せになる道」で締めくくられています。([集英社新書][1])
面白いのは、これは単なる「犬の雑学」ではないことです。「性格」という、見えるようで直接には見えないものを、科学はいったいどう測るのかという問題が中心にあります。ましてイヌは言葉で自己申告できず、感覚世界も人間とは違う。本書には「イヌの性格をどう測定するか」「愛犬は『楽観的』か」といったコラムもあり、性格を固定的なラベルではなく、測定可能な行動特性として扱おうとする研究の手つきが見えてきます。([集英社新書][1])
さらに、家畜化という巨大な自然実験があります。オオカミからイヌへの進化では、人間との共生によって身体だけでなく行動も選択されました。すると「遺伝か環境か」という古典的二分法ではなく、遺伝的傾向、犬種形成、人間による選択、個体の経験がどう重なるか、という問いになります。これは人間の性格を考えるときにも、そのまま跳ね返ってくる問題です。
注意点は、出版社が公開している目次と内容紹介をもとにした推薦であり、私は本書全体を通読したうえで評価しているわけではないことです。それでも、犬好き向けというより、**「性格を科学するとは何をすることなのか」に興味のある人に向く本**として、かなり面白そうです。
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