1998年8月28日金曜日
昭和は繰り返すのか
1998年8月27日木曜日
本を回して読む
1998年8月26日水曜日
作られた景色
1998年8月25日火曜日
問題を解く前に問題を探すAI
1998年8月24日月曜日
空想を実験できる形にする
1998年8月23日日曜日
完全に「予測」できればそれは「理解」なのか
1998年8月22日土曜日
原子が動く前に電子が道をつくる
1998年8月21日金曜日
政治を「国別」ではなく「課題別」に読む
1998年8月20日木曜日
ノミが怪物になった日
1998年8月19日水曜日
月が川を「尋ねて」くる
石川や 瀬見の小川の 清ければ月も流れを たづねてぞすむ
1998年8月18日火曜日
折り紙でしか作れない七角形
1998年8月17日月曜日
「知らない」より「考えようとしない」
1998年8月16日日曜日
最後に人間が決めれば,それは人間の決定なのか
1998年8月15日土曜日
宇宙を先に保存する
「スペクトル」とは、天体の光を波長ごとに分解したものです。写真が「そこに何が見えるか」を記録するのに対し、スペクトルからは温度、元素組成、運動速度などが読み取れる。しかもSDSS-Vが面白いのは、宇宙を一度だけ撮る静的な地図ではなく、同じ天体を繰り返し観測する「時間領域分光」を大規模に進めていることです。ブラックホール周辺の変化や連星の運動など、宇宙を「ものの配置」ではなく「変化する現象」として記録する方向へ天文学が移っています。SDSS-Vは銀河系、ブラックホール、近傍宇宙を三つの主要プロジェクトで調べる構想です。(SDSS - Mapping the Universe)
KAMEKIXの記事の種として面白いのは、ここから「観測とは何か」という話へ進めることです。かつて天文学者は望遠鏡を覗き、対象を選び、記録しました。いまや観測装置が何百万ものスペクトルを蓄積し、研究者は後からデータベースを探索して、まだ誰も問いを立てていなかった現象を発見する。つまり科学では、問い→観測→発見だけでなく、観測→巨大アーカイブ→後から問いが生まれるという順序が強くなっています。
これは、過去の記事を蓄積しておき、後からAIが思いがけない接続を発見するKAMEKIXの仕組みとも少し似ています。違うのは、SDSSが「宇宙を先に保存する」のに対して、KAMEKIXは「過去の自分を先に保存する」ことです。巨大な記録は記憶の代用品ではなく、まだ存在していない問いのための観測装置なのかもしれません。
記事にするなら、仮タイトルは「宇宙を先に保存する」「問いより先にデータがある」「三百万本の光をあとから読む」の三案が考えられます。
[1]SDSS公式サイト
1998年8月14日金曜日
犬種で「性格」は決まるのか
1998年8月13日木曜日
部屋そのものが百科事典だった
今日見るのは、デンマークの医師・博物学者オーレ・ヴォーム(Ole Worm, 1588–1654)の収集室を描いた、1655年刊『Museum Wormianum』の見開き銅版画です。ヴォームの死後、ライデンで刊行された同書は、彼の自然史コレクションを記録したもので、この図版はG. Wingendorpによるものです。Science History Institute所蔵本はパブリックドメインとして公開されています。
① 何が描かれているか。
壁も天井も棚も、ほとんど空白がありません。魚や鳥の剝製、骨格、貝殻、巨大な亀甲、角、鉱物らしき標本、武器や道具が、大小入り交じって並んでいます。中央には物を取り出して観察するための机があり、部屋全体が巨大な分類装置のようです。書物そのものも、鉱物・植物・動物・人工物という大きな区分で編成されていました。
② 17世紀の人にはどう見えたか。
これは現代の博物館というより「驚異の部屋(Wunderkammer)」です。珍奇なものを集めることは、単なる趣味ではなく、世界の多様性を一室に縮約して見せる知的行為でした。まだ生物学・地質学・民族学といった専門分野が分離していないため、自然物と人工物が同じ視野に置かれています。ヴォームの特徴は、王侯の豪華な珍品だけでなく、北欧の比較的身近な自然物も収集対象にした点でした。
③ 現在の知識から何が見えるか。
面白いのは、「分類学が未熟だった」と見るだけでは足りないことです。ここでは、まず物を集め、並べ、比較し、触れ、記述するという手続きが先にあります。現代科学では分類体系が先に見えるため忘れがちですが、知識はしばしば、このような雑然とした具体物の集積から生まれます。完成した百科事典ではなく、百科事典になる直前の世界が一枚の絵になっている、と見ると、この部屋は急に現代的に見えてきます。